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天使のアルバイト-053-

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 生徒はレジ係の残り二人、たこ焼き屋のお兄ちゃん。見物人としてアイスなめつつ母親待ちの小学生3人兄弟。
「大きく息を吹き込むこと2回。次いで心臓マッサージ15回。息は胸が動くのが判るくらいに強く吹き込む。マッサージは肋骨がベコッと変形するのが判るくらいに。当然幼い子供には力加減を……」
 “コシヒカリ”の袋相手に動作の実技をする。なお、心肺停止から時間が経っていると思われる場合は呼吸よりも心臓マッサージを優先する。
 入口の自動ドアが開いたのはその時である。
 客か。
「いらっしゃ……」
 エリアは声をかけようとし、ハッと気が付いた。
 走ってきたのだろう。若い女性が息を切らしてドアに寄りかかる。
 何かあったのだということが誰にでも判る。
「あの……誰か助けを……」
 途切れ途切れ。
「どうしましたっ!?」
 受付カウンターの奥から、声だけ飛ばしてきたのは店長。
「あの……赤ちゃんが……車の中に……置きっぱなし……」
 そのセリフにエリアは眉をひそめた。
 意味が判らない。捨て子か?
「エンジン止まってて……赤ちゃんぐったりしてて……ロックされてて……救急車はとりあえず携帯でさっき……」
 とりとめのない言葉。しかし、エリアは事態を把握した。この炎天下、車の中に赤ちゃん置きっぱなしでどこかに行った、ということだ。
 大バカ者がおるらしい。そういえば“エアコンを過信して車内熱中症”とか由紀子の店の新聞にあった。
「判りました!救急車は呼んだんですね?」
 店長が訊きながら受付を出る。たまらずエリアは走り出す。じっと救急車待つなんて、そんなこと出来ない。
「あ。あの行ってもロックが……」
 聞く耳持たず店から飛び出す。
「待って!」
 女性がエリアの後を追う。店長はエリアを見、続いて“特別講義”中であったメンバーに目を向ける。
 

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