【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-38-
教室に戻ると落書きは消され……正確ではない。机自体、新品に取り替えられていた。
自分らの方が先に戻ってしまったようで、空室の状態であったが、程なく足音が多数聞こえ始め、ざわざわした声と共にクラスメート達が戻ってくる。そして教室に足を踏み入れるなり、二人を見、押し黙る。
レムリアは自席で文字通り斜に構え、右腕を椅子の背もたれの後ろにブラブラさせ、ふんぞり返るようにして彼らを見た。が、視線を外される。
一方溝口は両手を拳にして腰元に引き据え、唇をきゅっと結び、うつむいている。それは何か恐れているようにも見えるが、テレパスは弱気や恐怖を捉えてはいない。どころかその逆、勇気を持ちたい、という意思の表出。
教室内の人数が増えてくると、あちこちでひそひそ話。良くも悪くも一体なのだ、と納得する。
奈良井が戻って来た。
「さて」
と、後ろ手でドアを閉める。
「全員いますね」
そこでレムリアは挙手。
「はい、相原さん」
レムリアは立ち上がる。が、誰もこちらを振り返らない。厳密には平沢がちらっと見たのだが、まるで周りの視線を怖がるように目線を戻した。
レムリアはスッと息を吸い、
「まずいきなりトラブルごめんなさい。でも、あんなこといきなり書かれていたら誰だって逃げたくなります消えたくなります。違いますか?だから消えました。
さておき、逃げて、消えて、彼女と二人で話をしました。良く聞いて下さい。今後彼女にガタガタ言う奴は私が許しません。私に文句ある人は私に直接問い合わせて下さい。何か書いてあったけど出会って数日、私の何が判る。勝手な憶測でレッテル貼るのは最低の人間のすることです。ましてや何も知らない転入生に向かって良くもまぁ。そういうのを、よそ者いじめって言うんですよ。未開人ごっこ面白かったですか?」
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