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【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-39-

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「おい、聞いてりゃ随分と偉そうじゃんかよ」
「転入生の分際で、ってか?猿山のボスねーちゃん」
 レムリアは声の主に即座に切り返した。窓際に立つその娘は「大桑」という名札を付けている。女の子が数名ずつグループを作り、そこで権勢を示す例を前に見たが、このクラスの場合、この大桑という娘のグループがかなりの勢力であるらしい。さながらミニ・マフィアだ。
 果たして大桑は怒りをあらわにレムリアに歩み迫ってきた。近づく立ち姿はかなり大柄。レムリアは153センチだが、比して見下ろされるほどの背格好。
「何様のつもりだおめえ」
「姫様」
 するとそこで溝口が吹き出した。
「あははははは」
 困惑が教室を曇らせる。さもあろう。中傷されて飛び出し、かき消えて現れ、戻って来て寡黙、思いきや大笑い。
 他方、彼女には、レムリアの切り返しは冗談として通じる。端的にはそれが笑いのツボにはまったらしい。
 そしてこの状況、溝口が笑えたことは、彼女がこのクラスの派閥やグループの影響、そうした枠を外れた場合のデメリット、すなわち“何をされるか判らない”という恐怖を既に乗り越えていることを意味した。
「まぁ、この通り、表面上の仲良しクラスですわ。先生」
 レムリアは言い、大桑を下から睨み上げて三白眼。
「あたしがあんたに気に入られないとどーなるってんだいボス猿ねーちゃん。え?みんなもこんなののご機嫌伺ってビクビクひそひそ。何も起こりゃしねえよ。自分に自信の無い奴ほど他人貶めて地位保全を図ろうとするのさ。その貶めるきっかけを、ちょっと違う、とか、ちょっと自分より良さそう、とか、そういうのに見つける。いじめの始まりはそんなもん。そして手段は暴力とか嫌がらせとか小さくてとにかく小汚え。あたしのことが気に入らないなら直接……」
 

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