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【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-40-

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 レムリアはそこで息をスッと吸い、
「かかって来いやデカバカ女が!」
 一喝。その声は隣のクラスから悲鳴が来るほど響き渡った。もちろん、それ以前にクラス中が文字通り度肝を抜かれるほどの大音声であった。
 理由は簡単である。レムリアは王族の娘であり、王族は古来、城の告知台から触れを出していた。その名残で発声訓練を受けていたのだ。
 果たしてざわつく声が沸き、ドアが開いて足音バタバタ。
 廊下に他クラスの生徒が鈴なり。
「それとも、こっちから行くか?」
 レムリアは小さく付け加えた。固唾を飲んでいる視線達にはそれでも充分聞こえたであろう。ただ、それを要さずとも大桑という娘は既に怖じ気づいたと判った。
 鈴なり生徒かき分け顔を出す隣のクラスの男性教員。
「あの、何事です?」
「本気の喧嘩」
 奈良井はそう言って男性教員を制した。
 果たして。
 大桑は下を向いた。大柄なのは実は彼女のコンプレックス。
「イヤでしょ。言われるの。誰だって自分に自分のイヤだなって思うところあるんだよ。そこにナイフ突き立てるのと、守ってもらうのと、どっちがステキだよ」
 レムリアはそこでクラスを振り返る。
「え?みんなも知ってんだろ?陰口叩かれそうなことだ、って知ってんだろ?だったら、黙って守ってやれよ。違うか?友達って、クラスって、そういうもんじゃないのか?通信制だったからよく知らないけど」
 挙手が、あった。
 平沢。
「いい、かな」
「どうぞ」
 奈良井が許可。
「俺、最初に相原さん見つけたんだ。二人でずっとあそこの四阿にいたらしい。言われたんだ『溝口さんは私が守る』って。俺、ハッとしたんだ。それって、普通、男が女の子に言うセリフじゃんか、マンガとかさ。俺、何してたんだろうって。俺、男の役目出来てないじゃんって。俺たちのクラス、みんな自分が気分良ければそれでいいって、みんなが気分良く過ごしてもらうとか思ってないって。
 嫌われたくない。それで本音隠して、その……相原さん言ったけど、表面上、仲良しの振りしてた。で、後からあっちでこっちであいつウザいとか陰口叩くんだ。最悪じゃね?これ。俺間違ったこと言ってるか?」
 

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