【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-41-
そこで手を上げたのは溝口。
レムリアはその意図に気付いた。
廊下には他クラス鈴なりそのままである。が、彼女の決意を止める必要は無い。
私が守ると言ったのだから。
「今更ですけど。みんなに言っておきたいことがあります」
何を言わんとしているのか、クラス中が判ったようだ。
“陰口”の遠因。
「私、男の人が好きになれない、っぽいんです。変な子、って幼稚園の頃から言われてました。ひどい目にも遭いました。そのこと、知ってる人、この学校にも沢山います。今朝、机に書いてあったこと、否定しません。でも、私、自分が、そういうタイプだと言うことを、自分で理解してます。だから、皆さんに迷惑と思われるようなことをする気はありません。なのでせめて、普通にいさせてくれると嬉しいです」
「気にすんなよ」
男子の誰かが即座に言った。
「そうだよ。溝口は仲間だ。何か言われたら来いよ。俺たちが守るよ」
男の子の強さ。レムリアは感じた。それは父性の目覚め、やがて家族を守る大黒柱へと成長する。こうやって始まるのか。
相原学の場合は“自分を守りたい気持ち”が彼を男にしたと思っている。
そしてやがて夫になる。
さて、これでともあれ、溝口が“隠しておきたい”こと、“知られたくない”と思っていたこと、隠しておきたい故の“つけ込まれる隙間”全部消えた。
「座んなよ」
レムリアは大桑に言った。今、立つ瀬が無くなったのは彼女。
「人の陰口コソコソ言うような奴は誰にも愛されないよ。私が言いたいのはそれだけ。それから、体格気にしすぎ。私は思春期でダイエットする方がよほど不健康だと思う。この時期に付いた脂肪が将来母体を保温し、いざというときの母乳の原料になる。その点であなたの身体は申し分ない。で、そういう身体が大好きセックスしたいという男は必ずいる。だから気にするな」
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