【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-43-
「だから私、別に自分のそういうこと隠しはしません。だってただの事実だし。相原さんに、姫ちゃんに、友達になってもらえた。それで十分だし。こんなに自分のこと聞いてくれた人いないし、話した人いないし。
すごく幸せになれました。だから私のことコソコソ言わなくてもいいです。言われても何とも思わないし。ただ、一つだけお願いしたいです。誰かに、自分との違いが見つかっても、それで悪口を言わないで。以上です」
溝口が座った。
奈良井が教室を見渡す。廊下のギャラリーもそのまま見ている。
「発言したい人は他にいないかな?」
無言。
奈良井は教壇に戻った、
「じゃぁ、私が喋るね。まぁ、ショックでしたわ。仲の良いクラスだと思って安心してました。気づけなかった私の過ち、ごめんなさい」
頭を下げる。
「先生そんな……」
そこまですることはない。言いたげな学級委員長。
「いいえ。私はこの教室でこの学校で、あなた達の心身の健全を保証するという責任を持ちます。みんな一人一人がかけがえのない家族の一員、家庭の宝なのです。傷つけてしまうなんてとんでもないこと」
それは素直な気持ちであると共に、ある種の説教であるともレムリアは気付く。
いじめ、イコール、傷つけてしまうなんてとんでもないこと。
「今更ですが人はそれぞれです。皆同じだったら逆に怖い、ロボットじゃあるまいし。そんなクラスになれといった覚えはありません。ただ、誰もが誰もを傷つけまいとすれば、誰も傷つきません。言ってる意味は判りますね。そこんとこよろしくお願いします。まぁ確かに思い通りにならないとムカつくし、誰かに当たりたいと思うでしょう。でも、それを実行に移すのは他に手段が見当たらない幼い心のすること。面白がってアリの行列を潰してみたりね。そんな歳じゃないんだからおやめなさい。誰かの行動が不快というなら、本人に直接か、私にコソッと、言って下さい」
| 固定リンク
「小説」カテゴリの記事
- 【理絵子の夜話】城下 -10-(2023.12.09)
- 【理絵子の夜話】城下 -09-(2023.11.25)
- 【理絵子の夜話】城下 -08-(2023.11.11)
- 【理絵子の夜話】城下 -07-(2023.10.28)
- 【理絵子の夜話】城下 -06-(2023.10.14)
「小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事
- 【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -24・終-(2023.07.26)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -23-(2023.07.12)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -22-(2023.06.28)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -21-(2023.06.14)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -20-(2023.05.31)
コメント