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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-001-

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 2011年3月11日。金曜日。月齢6.3。
 相原家の朝の始動は早かった。
 6時。相原学(あいはらまなぶ)が起きてリビングに降りてくると、彼女レムリアは既に着替えてキッチンにあり、母親と共に朝餉の準備をしていた。
「学校集合7時半じゃ」
 相原学はこたつの上、広げられた遊園地案内図を眺めて言った。
 あちこちのアトラクションに、絶対という文字だの、回る順番であろう数字が入っている。
「目が覚めちゃったし」
 彼女はまな板から振り向かず答えた。Gパン姿でアウターはフード付きパーカー。そんな姿にエプロンをしている。
「遊園地遊び、ってイメージじゃなかったけどな」
「学が連れてってくれなかっただけですよ~だ」
 彼女は今度は顔を向け、べっ、と舌を出して応じた。今日は学年末の“お別れ遠足”。ネズミのキャラクタで知られる千葉県浦安(うらやす)の巨大遊園地に行くという。
「これと遊園地行ってキャーキャーしたいか?」
 相原学は自らを指さして訊いた。オレと一緒で場に似合うか?という意味。
「誘拐犯だわね」
 レムリアはしわくちゃパジャマのメガネ男を上から下まで見回し、うんうんとため息を混ぜて頷いた。彼女14歳、学22歳。されど、将来を約束し合った仲。さらさらのショートカットが軽やかに揺れる。
 16歳まで彼女が相原宅に同居同棲。これは彼女が日本人では無かった故の処置。
 瞳キラキラの顔立ちは異国の感はなく、どころか、渋谷や原宿でスカウトされそうな程であるが、それでも彼女はれっきとした王女であった。否、過去形は正確ではない。祖国における王女としての地位は存置されている。ただ、王家は存続させず、現在の王と女王の死を持って解体と決まっている。
 フライパンでジャーと派手な音。

 

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