アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-002-
普段、相原家の朝食は和食であるが、今日は集合時刻に合わせた時間短縮でトーストにベーコン。ただ、ならば手伝えるとレムリアがフレンチトースト作成を志願して、早起き、が、ここまでの経緯。
焦げた糖分がいい匂いの完成品がこたつに到着。
「どうぞどうぞダンナさま」
彼女はこたつに正座し、紅茶のティーバッグを揺すりながら相原に勧めた。
「初めての手料理って奴か?」
相原が紅茶のマグカップを受け取る。
「そうだっけ?でもお菓子は何度か食べてるじゃん」
レムリアは答えて相原を見た。彼女は国際救助ボランティアで人命救助に携わる。その際、特に子供達とコミュニケーションの糸口になればと、焼き菓子を自作して持ち歩いている。
「ありゃ毒味ってんだ」
「あ、ひどい」
「進歩したけどな」
「正直でよろしい」
レムリアは相原の頭をなでた。いい子いい子。
母親がキッチンから焼いたベーコンを持って来る。相原学は22歳であるからして、母親は応じた年齢である。髪の毛は白い物が目立つ。
「はいお待たせ~。あら、凄く美味しそう」
母親は件のトーストを見て言った。ふんわり感に少し焦げ目。
「いただきまーす」
手を合わせてそう言うのは日本ならではなのだが、レムリアの所作はすっかり板に付いている。
それぞれフレンチトーストひと囓り。
「おお」
相原は目を見開いた。
「どう?どう?凄いべ?だべ?」
レムリアが覗き込む。語尾に「~べ」と付けるのは神奈川北部から東京多摩地区に見える方言である。するりと出てくるのは喋りも慣れた証し。
「ちょっと甘すぎるけどな」
「学なんか今日ひどい、嫌い」
「あら、あたしは丁度いいと思うけど」
「ですよね。ハイ2対1、学の負け」
負け~、負け~と二人でののしる。
相原は苦笑。
「おまいさん、そんな面白かったっけ」
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