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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-004-

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 レムリアは傍ら置いたウェストポーチをぽんぽん叩き、開いて見せる。そこには彼女が言ったそれらの他、ケガなどの応急処置用具一通り、件のお菓子も少し入っている。
 及び、衛星携帯電話。
「そういや電話どうするね?その“野郎”じゃみんなと繋がれないだろ」
 相原は電話機を顎で指し示した。彼女の電話は世界中を飛び回る関係で衛星携帯電話である。微弱な電波を扱うことと、元来の想定ユーザの用途を踏まえ、携帯電話というには無骨な外観をしている。さながら軍用無線機を思わせ、その男性的なゴツいデザインを捉えて相原は野郎と呼ぶ。なお、繋がるとはインターネット経由の各種SNSを指す。それら専用アプリが使えないだろうというのだ。来日定住して3ヶ月、彼女は元々持っていたアカウントを友人達に公開し、主としてパソコンで各種コミュニケーションをしている。が、今日は集団行動であり、電話機自身がそれら機能を備えていた方が早いであろう……というのが相原の考え。ちなみに、電話機でメールの送受信は出来るが、日本語には非対応。また、それ以外のデータは“ダイヤルアップ接続”扱いになる。

 

Img_01_2

 

(「イリジウム」サービス用端末の例。KDDIサイトより)

 

「あたしの貸そうか?」
 母親。
「あ、大丈夫です。基本みんなくっついて動くし、ローマ字で書いてもらえばいいって言ってあるし。そんな濃いのや長いのはやりとりしないし」
「そう?」
「はい」
 彼女は頷いた。
「判った。んじゃ俺は行くぜ」
「はーい。行てらせー。パジャマのままで行てらせー」
「流石にパジャマはダメだべ」
 相原が席を立ち部屋を出て行く。彼はいわゆるサラリーマンであるが、ドレスコードの敷かれた半年間の研修が明け、通勤スタイルは私服に変えた。
 着替えて降りて長袖の襟シャツにダウンジャケット。東京多摩地区3月は春まだ遠い。

 

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