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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-005-

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「ハイハイ学子(まなぶこ)ちゃん、忘れ物はありませんか?ハンカチとちり紙は?」
 母親がリビングから出て来、降りてくる相原を見上げて言った。降りてくるのを待っていたようである。
「ジェットタオルって奴があるので最悪忘れても大丈夫」
 相原は言った。

 

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(ジェットタオル)

 

「面白みの無い男だねお前は」
 母親は応じながら、玄関で靴履く息子の肩をトントン。
「んぁ?」
「いや、今日の姫ちゃん、ちょっと変かなって」
 小声で言う。
「あ、いや、あのね……」
 それは、母親としては、聞こえないようヒソヒソ話……の意図だったようだが、レムリアはテレパス(超常感覚所有)なので自分の思惟はほぼ丸見え、という説明を相原学は飲み込んだ。たとえ母親でも他言無用と言われているからだ。全て見透かされてると思うほど気分の悪いものはあるまい。一方彼女も余計なこと勝手に判るので、遮断能力会得するのにそれなりの苦労があったと言った。なお、相原とレムリア二人の間は、彼女の能力のたまもので“当然のように”双方向筒抜けにしてある。別に隠すこともないからだ。最も、無線通信に似ている部分はあって、意思疎通できる条件は距離や心理状態に依存し、一定ではない。
「まぁ、普通に遠足前の眠れぬ一夜でしょ。実際、俺あの子を遊園地とか連れてったことないからね。純粋に嬉し楽しワクワクするし、だと思うよ」
 相原は言った。無難な回答。ただ、少し引っかかる部分はある。ハイテンション過ぎるきらいは否定しない。されど問題視するには大げさすぎる。
「そう?ならいいけど」
「そういう場所を喜ばないひねた息子でしたからね~」
「まぁね。こっちは遠出もしないしカネも使わない。楽で良かったけどね。ハイ、行ってらっしゃい」
「いてらせー」
 これはリビングから声だけレムリア。
 このように、送り出された朝は、いつも通りの平凡、であった。

 

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