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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-008-

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 上司は怒鳴ったのであったが、相原は己の信じるままに声を発した。
 7秒後、速報システムのマグニチュードは7.7に変わった。
 彼のパソコンモニタを覗き込んだ同僚が「げっ」と叫ぶ。
「通常の宮城県沖よりデカいです」
 相原は来るであろう震動に身構えて足を前後に広げ、自分のパソコンからメールを飛ばした。“massive quake.protect yourself and friends.”向け先はもちろんレムリアである。
 初期微動が達する。
「あっ」
「おお地震だ」
 相原の職場は神奈川県内としておくが、以下時系列は東京の記録に基づく。
 14時47分50秒。速報のMは7.9を表示し、東京に主要動が到達した。
 建屋がギイギイと軋む音を伴い、ユサユサと表現される左右動・横揺れが始まる。窓や什器が固定された枠内で動いてガタガタと音を立て、積み上げた書類などバサバサと床に散る。
 M7.9。それは大正12年関東大地震のそれと値を同じくする。相原は確信した。これは通常の宮城県沖ではない。文献に“過去起きた形跡がある”とされた、宮城県沖と隣の震源域が連動したマグニチュード8超クラスだ。ならば、関東もただでは済まない。東北も関東も“北アメリカプレート”と呼ばれる同じ岩盤の上にある。その“北アメリカプレート”が大きく動くのだ。
「うわ本当に来た!」
「一昨日よりでけえ」
「潜って下さい!机の下に潜って下さい!窓ガラスから離れて下さい!一昨日より遙かにでかいです」
 相原は大きな声で言い(無闇に叫んだわけではない)、自らも机の下に身を潜め、携帯からメールを打った。

 

“warning MEGAQUAKE about 3-5min shake.”

 

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