アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-012-
「遅えよ」
相原は鼻で笑い、開いたサイトの文字に戦慄した。
宮城北部で震度7。大津波警報発令。
気象庁のサイトに入る。北海道から関東まで震度5弱以上を示す赤系の表示で埋め尽くされている。これだけ広範囲これだけの震度の地震、表示されたマグニチュード7.9では済まぬ。
会社所在地域は最大震度5強と判ずる。
「当地は震度5強。三陸一帯に津波警報が出ています。余震による更なる落下に注意。ムリして元に戻さず。火災はありませんか!」
相原は言い、ヘルメットをかぶり、両の手を口元に当て、メガホンのようにしてフロア内に声を出す。なお、一般家庭においては自宅は安全に終わっても周辺の火災に注意が必要である。必ず近隣を確認されたい。
「ケガされた方はいませんか。点呼です。開発一課はここにいた全員は無事です。二課お願いします」
「二課……3人、多分、問題なし」
「電子制御」
「全員ラボだわ」
答えたのは執務担当のいわゆるお局さん。
「材料技術」
「ミーティングじゃね?金曜この時間だし」
二課から声。
「判りました。各課、ラボへ連絡を取って……」
相原は言いかけ、課長へ向き直った。
「課長」
「なんだ。終わっただろ、いつまでもそんなもん被ってないで仕事しろ」
「ラボ室の全員引き上げを上申します。余震による重量物の倒壊や落下、可燃物の拡散が懸念されます」
「お前バカか。そんなデカいのが2度も3度も来るか」
「余震が来ますから」
「判っとるわ!そんなデカいのは来ないって言ってるんだ」
「いやでも巨大地震の余震はマグニチュードを1引いた……」
「うるさい黙れ。大体お前はだな。反物質とか夢物語ばかり考えてるから……」
「坂口!お前が黙れ」
課長の声を遮ったのは部長であった。
「え?は?」
課長は目をむき、部長を見やった。
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