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天使のアルバイト-066-

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 自分に用があるなら、自分が聞くだけのこと。
 母親が目を円くし、手を離す。エリアは頷いて見せ、続いて指で“OK”を作って、ウィンクした。
「お客様、私どもの店員に何か……店内での大声は他のお客様の迷惑になります」
「うるせえ!何モンじゃワレぇ」
 冷静で毅然とした店長の声に対し、やたら恫喝的な男の声。
「当店の店長です」
 店長は冷静さを失わない。
 エリアは男の目をじっと見続ける。
 強いアルコールの匂い。
 依存症だ。エリアは見抜く。しかもその吐息臭から、内臓にかなりひどい疾患を煩っていると知れる。要するに生活習慣がロクなものじゃないのである。自堕落で、退廃的で、貪欲で……。
 とにかく人間としてまともなものではない。
 男が怒鳴る。
「おお!じゃあちょうどええわ!お前んとこの、この小娘が期限切れのタマゴ売ったから見ろ!ウチのモンが腹痛(はらいた)起こして入院したわ!」
 嘘だ。エリアにはすぐ判った。ただそれが、テレパシー能力がチラリと働いたせいなのか、いわゆる“女の勘”の部類に属するものかは判らない。
「失礼ですが、その時のレシートと、その不具合の商品の残りはございますか?」
 店長はあくまで冷静である。何度か似たような事象があったのだろう。
「おおあるわ!。これじゃ!、よく見ろ!」
 男がスーツをバッと広げ、中からまだ残っている“半熟タマゴ4個入り”のパックとレシートを取り出す。そしてタマゴのパックを力一杯床面に叩き付ける。
 がしゃんと卵が割れ、中身が流れる。
「こいつは、この女だろう!」
 唾液を飛ばしながらレシートを突きつける。確かにレジ担当者はエリカで日付は昨日。
 一方タマゴの方には消費期限が一昨日のシールと“100円引き”のシール。
 

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