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天使のアルバイト-067-

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 一昨日……普通なら閉店時に引き上げるはずの商品を、担当が間違えてそのまま置きっ放しにし、翌日……すなわち昨日、エリアがそれに気付かず売ってしまったのである。二重のミスだ。
「おかげで仕事にならねえ……判ってるだろうな、店長」
 凄む。但し、体格は店長の方が一回り以上大きいのであまり効果的に見えない。
「診断書などはございますか?」
「何だと?」
 やすやすと恫喝に乗らない店長に、男の額に青筋が走る。
「てめえそれが客に対する……」
「そうではございません。事故品でお客様に健康問題が生じましたなら、もちろん私どもの責任となります。しかし、お医者様の診断書など、金額が明確になるものがなければ………」
「やかましい!。それともてめえ、ウチの奴らにこの店に来られてえのか!?」
 その言動は、そちらが趣旨、であることは論を俟たないであろう。ただ、空回りしている。必死に“怖がらせたい”のだが、通用していないからである。暴力の存在を背景にした脅しは、相手が恐怖を感じない限り、子どもが嘘で大人の関心を引こうとするのと同レベルであり、傍目には滑稽で下劣で、情けない。
「仕事にならないほど入院してても店には来られるの?」
 果たして軽蔑の目のまま、エリアは指摘した。
 店長がギョッとしてエリアを見る、“君は黙ってな”。
 しかしエリアは聞く耳を持たない。暴力を怖がるという神経は彼女にない上、暴力で無理強いするというその腐った性根が気に入らない。
 なぜならそれはこの世で、人間として最も卑怯な行為であると思うからだ。
「聞いてりゃ馬鹿馬鹿しい。単なる言いがかりじゃない。店長もこんなの相手にするだけ無駄ですって。入院必要で、しかもそれが、ふん、お仕事?とやらが成り立たないほど人数多いのに、何で店に来られるって言うの?矛盾も甚だしい」
 

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