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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-019-

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 なお、この遊園地は埋め立て地に建築されており、追って駐車場や周囲の駅頭、住宅地は顕著な液状化現象を呈するのであるが、この園内にあってはそうした現象は観測されなかったようだ。
 当然、リアルタイムでそういう現象は観測されていない。ならば、この園内にとどまる分には危険はまずない。それがレムリアの結論。なお、実際の沿岸部、河川近傍では、液状化による地面変形、噴砂、河川からの排水逆流などが生じうる。“避難”が容易に出来ない事態がありうる。立地の性状を把握されたい。
「繋がらない!うそ、やだ、おばあちゃんメールとか出来ないし」
 田立の手元が震え、目からは勝手に、であろう。涙がぽろぽろこぼれ落ちる。
 関東エリア千数百万人が同じように携帯電話で……を試みているに相違なかった。繋がるわけがない。もちろん、現地も。
 でも、自分は違う。
 田立の肩を、レムリアは握った。
 見返す田立の涙顔をまっすぐ受け止め、
 衛星携帯電話を取り出し発呼する。
 発呼先は当然相原学。会社の電話はIP電話。すなわちインターネット経由と聞いたのだ。だったら、自分が衛星携帯であることを考えれば、
 一般電話回線は一切経由しない(衛星-米国アンテナ-海底ケーブル)。
 呼び出し。繋がった。
『無事か』
 相原はまずそう来た。逆に言うと彼も無事。
「詳しい情報が欲しい」
『宮城県沖地震の化け物だ。マグニチュードは気象庁は7.9。ただ、USGSの速報値は8.8だ。これはみんなに伝えてくれ。日本史上最大の地震だ』
「判った」
 レムリアは躊躇無く周りに声を発した。
「震源は宮城県沖、アメリカ地質調査所の速報値でマグニチュード8.8だそうです。日本が経験した最大の地震だそうです」
「なんだそりゃ!」
「おいねーちゃん!さっきから嘘言ってんじゃねーぞ!」

 

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