アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-024-
「ありがとう」
「よく判んないけど、これで、行くんだよね」
「そう、凄い風が吹いて水しぶきが舞うから、みんなには下がってもらって」
「判った」
「おばあちゃんを……お願いします」
彼女はVサインで応じ、船へ向かってハシゴを馳せる。
甲板へ降り立つ。傍らにはそのハシゴを下ろした大男。迷彩服を着、身長2メートル、金髪碧眼。
「ありがとう」
彼女は言い、ハシゴの格納に手を出そうとする。と、大男がニヤリ。
「まだ早えよ。始まってもいねぇ。中へ入れ。後はやっとく」
大男は顎をしゃくった。
「お願いします。みんな下がって!水しぶきが飛びます!」
声を発すると、衆目から走り出てきたさっきの男の子。
「お姉ちゃん魔法使いなの?」
「ちょっとね」
ウィンク。
「行くぞ」
大男が言い、ハシゴを引き上げると、応じて船の下部から空気が吹き出される。
徐々に空気圧が増し、応じて池の水が飛ばされて舞い始める。
遊園地相応の“空飛ぶ船”を見ていた衆目は、それがおとぎの世界の産物では無く、応じた動力システムを有する超近代化機械と気付いたようで、水しぶき避けるように距離を取る。
「いいぜ」
甲板の男が言うと、船はバシュッと一発、後方にエアを吹き、水を飛ばし、自らを浮かび上がらせ、
白銀の矢となって北東の空に向けて疾走した。
4
相原学は作業服にヘルメット姿で会議室にいた。
リモコンを操作してスクリーンを下ろし、空飛ぶ円盤の模型のような機器をテーブル中央にセットし、ネットワークのケーブルを繋ぐ。
開けてある会議室ドアの向こうを先の課長が通りがかり、舌打ちする。
「何をしとるんだお前は!」
しかし相原は答えない。
説明している時間はないのである。
「おい、相原!」
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