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天使のアルバイト-071-

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 母親が娘達を食堂へ向かわせる。エリアは興味津々で周囲を見回す。有名な店だけあって、駐車場の車は多い。長距離とおぼしきトラック。スーツ姿で携帯電話をかけながら、お釜をたくさん手にして車に乗り込む営業マン。それは社に持ち帰るおみやげだろうか。そして遠足のバス。
 そこでエリアは思わず足を止めた。
「どうしたの?」
 由紀子が見ると、エリアは遠足バスに乗り込む子供達を見ている。小学校の3年か4年か、そのくらい。
「知ってる子でも?」
「ううん違う……ただ……ホラあの子、下向いてる男の子」
 エリアは指差した。みんな楽しそうに喋っている中、一人だけ、辛そうに下を向いている男の子がいる。
 由紀子も気が付く。
「乗り物酔いか……辛いんだよあれ。バカにされるから尚辛い。なった人間じゃないと判らない」
「かわいそう……」
「君たち何見てんの?」
 母親が二人に声をかける。男の子はコンベアの荷物のようにバスに乗ってしまう。
「いえ別に」
 エリアは諦めてバスから目を離し、母親について歩いて行く。どうにか出来るという気がして仕方ないのだが、どうにもしようがない。
 由紀子が、そんなエリアを不思議そうに見ていることに、エリアは気付かない。
 店内に入る。ドライブインであるから洒落っ気はない。たくさんの椅子が並ぶ大きなテーブル。食事を出すカウンター。左半分は売店。
「謎のお菓子謎のお菓子~♪私は釜飯でいいんで後よろしく~」
 由紀子が母親に注文を頼み、早々に売店へ入って行く。
「?」
 エリアは由紀子を指差しながら母親を見る。彼女は一体何を?
「ああ、あの子ね、いつもおみやげもらうばかりだからね。お返ししたいんでしょ。その地方でしか売ってない怪しい限定版のお菓子買うんだって」
 エリアは頷いた。嬉しそうにあれこれ品定めする由紀子の姿。
 

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