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天使のアルバイト-073-

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「あはははは!」
「エリカ、笑いながら食べると胃がよじれて良くないよ」
「だったら笑わせないで」
 でもとにかく楽しくて仕方がない。
 食事が終わる。ただ、エリアには、おいしいというより面白いという印象の方が強い。もちろん、釜飯自体は美味だったのだけれど。
 店を出、クルマにガソリンを追加してから山道を登ってゆく。カーブが多いが、父親の運転技量の関係でスピードは出ておらず、不安はない。
 その代わり。
「お父さん。後ろ数珠繋ぎ」
「え?」
 由紀子の声に父親がミラーを見やる。するとなるほど後方にクルマが列をなしている。すなわち、父親の運転速度が平均以下であるため、後続が彼らの車に追いついてしまったのである。
「ヘタクソはここらでいっぺんどかないと険悪な圧力が背後から…」
「くっそ~」
 父親はクルマを左脇に寄せる。すると、直後のアベックが彼らを睨みながらアクセルを無闇にふかして追い抜いてゆく。
「20……21……22台だよ。あーあ、バスにまで」
 由紀子が抜いてゆくクルマを数えて言い、そのバスの排気ガスを浴びて咳き込む。
 エリアは気が付く。そのバスはさっきの男の子が乗ったバスだ。周囲には湖などもあるので、経由地の関係で自分たちの方が先になったのであろう。
 車列が途切れた。
「行くぞ」
 クルマが再スタートする。今度はバスの後ろなので、追いつかれても申し訳なく思う必要はない。
 九十九折りを登り、尾根伝いに走り、目的地……高原美術館の駐車場にクルマを入れる。
 父親は例によってやり直し。
 その間に女性陣で美術館の入場チケットを買いに行く。同じ駐車場に子供達のバスも止まったが、子供達が行くのは美術館ではなく、その隣に広がる、なだらかな起伏を描く草っぱらの方だ。開放感一杯という様子で子供達が駆け出して行く。
 

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