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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-025-

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 相原の首からストラップでぶら下がっているPHS端末がピロピロと呼び出し音。外線着信であったせいか、課長は繋ぐ言葉を切った。
 相原は端末を見、しかし会話に出るでなく、ボタンを幾つかいじった。
 すると円盤模型のような機器から呼び出し音。転送したのである。
「どこと何するんだ」
「課長。ウチが管制しているQZS(きゅーじーえす)のポンダ、ガイアのSARリアルタイムをここに回すようにお願いできないでしょうか」
 相原は課長の顔も見ずに言った。
「お前は何言ってるんだ?」
 問いかけに相原は何も言わず、円盤形の機器のボタンを押す。
「オレだ。聞こえるか?」
『学?船に乗った。どうすればいい?』
 機器から声だけ。レムリアである。
「いいか、二つ指示する……」
『待って、具体的にくれるなら船に渡す。……どうぞ』
「OK。まず一つ目の指示、船自体はSARを使って高空から以下の空域をスキャンしてくれ。房総半島沖から北海道沖。一往復して、海面の津波の高さと、往復する間の移動距離から速度計算。もうひとつ、この会話を船のMMIFに回せ。オレの社のテレビ会議システムに接続した」
『了解。ドクター……』
 そこで一旦声が途切れ、程なく、相原がセットしたスクリーンに画像が映った。
 ひな壇状に長い机が並ぶその様は、大学講堂からの中継を思わせる。
 MMIF……マン・マシン・インタフェース。アルゴ号では乗員とコンピュータのやりとりを人語会話形式で行えるようにしてある。そこに接続することでアルゴ号と相原オフィスとでテレビ会議システムが構築できる。
『あっ』
『おお、相原君』
 船内モニタにも相原の姿が映ったようである。なお、言語は船が日英変換しており、相原の会議室には日本語で聞こえている。船は逆。

 

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