アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-026-
「お久しぶりです船長。船のメインをメイン画面へ下さい。下4画面はSAR、座標と速度、レムリア、船長で下さい」
相原は言った。
会議室スクリーンの画面割りが変わる。大きな画面の下に4つの子画面が並び、大きな画面には海が映示。子画面には左から乱れた波形のような文様画面、高速で動く数字の羅列、レムリアの顔、そして黒檀の肌を持つ船長、コールサイン“アルフォンスス”の顔。
「相原!」
課長が怒鳴った。相原は一旦下唇を噛み、しかし振り返った。
「申し訳ありません。言葉で説明してもご理解いただきにくいかと。相手先は昨年核ミサイル騒ぎで秋葉原に落ちたあの船です。今般の大地震に際し救助に駆けつけてくれました。応じて当社管制下にある各種衛星、画像記録と伝送サービスの生データをここに集約いたしたく存じます。許可願います」
相原が喋る中途から課長は首を左右に振る。否定否定否定。
「信じると思ってるのか?貴様いい加減にしろ」
船からピン。会話要求。
『学……いい?データ取れた』
相原は課長に答えず、設備に戻った。
「相原!」
「いいよ。結果を話してくれ。狙いを決める」
4つの子画面の一つ、波形のような文様の画面が大画面に動かされ、大きく展開、何やら補正された。
それは、コンピュータグラフィックスによる東北地方の地形と、その東側海面構造の立体描像。
(イメージ)
SAR……合成開口レーダ。委細は略す。雲などの影響を受けずに、肉眼同様の画像情報を獲得できるとだけしておく。
『高さ5メートルの水の壁が時速550キロで西進中……このままだと15分で沿岸に到達……こんな結果なんだけど』
「それが津波だ、沿岸に近づくと遅くなるが、その予測時間までに逃がすことを目標にすればマージンと考えられる。携帯電話の電波を捉えてマップに重ねろ。人のいるいないが出せるだろう。人がいるのが集落だ。波の到達に近い集落から極力広報し逃がせ。その際赤外線で屋内人体を捕捉。独力で動けない人は座標だけ確保して後で片っ端からサポートする。以上第1ミッション実行頼む」
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