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天使のアルバイト-077-

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12
 
 元日。午後3時。
 沢口家の玄関呼び鈴が鳴った。
「はい」
 母親が応対に出ると
 ドアの向こうに巫女装束の娘が一人。
「えへへ。明けましておめでとうございます」
 エリアは頭を下げた。袖ちょっと長め。髪の毛は後ろでまとめて白いりぼんで止めている。
「へえ~っ!」
 母親はエリアを見て感嘆の声を上げた。美しく、清楚で無垢。巫女を天職とするために生まれてきたかと思わせる立ち姿である。
「やっと本日のお役ご免となりまして。そこでお披露目。もう身体ボロボロ」
 エリアは首を回してゴキゴキ鳴らした。と、その背後に立つセーター姿の男性。
「ど~も。おめでとうございます」
 店長である。
「あらまあ、とにかく二人とも上がって。お父さ~ん、起きて!。由紀子、エリカちゃん、すっごい綺麗で可愛いよ」
 母親が声を張り上げながら二人を招き入れる。
「じゃ、お邪魔のエリカ」
 草履を揃えて上がる。
「お邪魔の店長も続くとしよう」
 店長も上がり込む。と、階段をゆっくり下りてくる足音。
 パジャマにカーディガンを羽織った由紀子である。母親の話では“年末恒例”の風邪をひき、布団の中で除夜の鐘、らしい。
「大丈夫なの?」
「うわ~っ!!」
 エリアの心配に基づく質問に、由紀子は悲鳴に近い驚きの声で答えた。
 エリアの方が驚いてしまう。
 更に。
「何?どうかしたの!?」
 異常事態と思ったか、一旦居間に引っ込んだ母親が飛び出してくる。
 そして、エリアと二人で由紀子を見つめる。何があったの?
 すると、
「綺麗……」
 自動的に出てきたような由紀子のセリフ。
「そ、そう?」
 エリアは……驚いて損したとでも書こうか、腰が抜けるような感じと共に言った。
 そして、ちょっと遅れて照れくさい気持ち。
「うん。すっごく綺麗」
 由紀子が大きくコクンと頷く。夢見る少女のような、キラキラと輝く瞳。
 

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