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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-041-

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『了解。第1マスト前方へ転倒90度、左側展帆(てんぱん)。第2マスト左舷側へ転倒90度、左右展帆。第3マスト後方へ転倒90度、左舷展帆』
 船の帆はソーラセイルである。すなわち、宇宙空間で恒星が発する光や粒子線を受けて動力とする。太陽電池機能も持っており、併せて、補助の電源・推進装置である。ただもちろん、地球上で風を受けて進むことも可能で有り、どころか、広げて翼として滑空も出来る。すなわち、応じた強度がある。
 外観上は四角四面の工業製品。しかし広げればサッカーコートくらいのサイズになる。適切な広さと強度は確保できる。
 3本の帆柱をそれぞれ各方向へ倒し、必要な方向へ展開し、屋上のフェンス幅いっぱいの大きな膜とし、横付け。
「全員来て!」
 レムリアは帆膜の上に立って叫んだ。
 足下の水を跳ね、一斉に駆け寄ってくる子供達。
 屋上フェンスをよじ登る。
 同時に大男二人が帆膜の上を走って屋上に入り、小さい子をひょいひょい抱える。
 応じてか、教員も同様に低学年児童を抱いて帆膜へ。
「上がった子は後から来る子を引っ張ってあげて」
「はい!」
 自力で上がり、そのまま帆膜を走り、甲板へ飛び降りる子。
 とどまって他の子と共に手を引き、避難を手伝う子。
 水が腰まで。
「上がれなくてもいい。掴まって!」
 船体から帆膜を斜め下に伸ばし、フェンスの内側に差し込む。
 その状態で帆膜にしがみついてもらう。各々の帆は完全に広げたわけではないので、多少の柔軟性を有する。展開収縮には空気を使うが、少し気圧を下げればシワが出来、手で掴むに適す。
「全員いいぞ」
 大男の声。これは行ける……レムリアは直感した。
「離すな、いいか離すなよ。操舵室帆柱を起こせ」
 水平だった帆膜が僅かに持ち上げられ、甲板側へ傾斜を作る。

 

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