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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-042-

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「みんな滑り台!甲板へ」
 滑り台の要領で帆膜の上を滑ってもらい、甲板へ移動。先に甲板に着いた年長の子が年少の子を手助け。
 この時点で、帆の先端にぶら下がった状態の子が12名ほど。
 大男と教員が一緒になって引き上げ、そして滑り台。
「全員救出!」
 4名に78名が加わり82名。
 甲板上は子供達でいっぱい。
「先生……でいらっしゃいますね?近場の避難所は?」
 身分証を下げたずぶ濡れの男性に尋ねる。
『レムリア高台ならどこでもいいぞ』
 相原の声は早口で“運ぶ時間すら惜しい”というニュアンスを感じる。
 イヤホンにピン。
『私です。大きな悲鳴。川沿いのお年寄り介護施設』
 セレネから。彼女もテレパス使いである。その思念を通じ、彼女が捉えたと思われる現場の視界が意識を流れる。
 それは“自力で動けない人”の救助活動。
 レムリアの中で、答えは一つだった。
「みんな、老人ホームへ行く。手伝ってくれる?」
 甲板の子供達に問いかける。自分自身が命からがら逃げ出した直後に「手伝え」。非常識甚だしく、反発と恐怖が支配して普通。
 だが。
「いいぜお姉ちゃん。オレ手伝う」
「オレも!」
「私も」
 気丈な子は、いた。
「ありがとう!」
 船は街を覆う水の上を飛ぶ。雪が強くなって来、火災の煙と相まって視界を奪う。
 イヤホンにピン2発。“緊急”。
 燃料残0.5%。
 そもそもフルチャージではない。また、加減速の回数も通常の救助活動より多い。
 0.2%が基地のあるコルキス王国へ帰還できる限界である。
『帰る必要はない』
 船長に迷いはなかった。
 介護施設付近に到達する。座標上は正しいが建物はなく水のみ。鉄筋コンクリート3階建て。
 が、完全に水没しているのである。ならば船のセンサで……レムリアは頼もうとして水の中をのぞき込み、目を見張った。

 

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