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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-043-

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 水に没した屋上の柵に掴まっている人あり。
 息続く限り掴まっていようというのか。
「はしごを!」
 自分の見たままは船の画面に出せる。船からピンがあり、船底からはしごがするする伸びて降りて行く。その先端には大男ラングレヌス。
 イヤホンにピン
『私だ。ラング、屋上に降りて抱きかかえろ。シュレーター、同時に降下風圧全力。風圧で水を除せ』
「アイ」(アイアイサーの意)
『了解』
 ラングレヌスと、無線越しにシュレーター……すなわち船の舵手の声があり、レムリアのタブレットに予定行動シミュレーションが映される。
 この船は離着陸時に風圧を利用する。その風で施設屋上から津波の水を吹き散らし排除しようというのである。
 そしてその状態を保持したまま、屋上より穴を開けて中に入る。
『レムリア酸素スプレーはどこにある?』
 訊いてきたのはラングレヌスと双子の大男、アリスタルコス。
「保持ユニットドア脇ロッカー2番」
 レムリアは応じた。水中の人に酸素を供給、であろうと解した。
『了解』
『レムリア作戦は理解したか』
「把握しました。実行願います」
 イヤホンにピン
「レムリア今すぐスプレー出せるか!」
 屋上に降りたラングレヌスであった。
「はい!」
 レムリアはウェストポーチの中から手持ちの唯一を取りだして甲板を走り、柵の上から身を乗り出す。
「行くよ!」
「OK!」
 落としてキャッチ。ラングレヌスはそれを水中から引き上げた女性の口にあてがった。
 ぐったりしている。
『屋上救助完!来い!』
『総員振動に備えよ。フォトンクローラ風圧全力。上下ベクトルゼロ。地球重力とニュートン均衡』
 光の柱が船から天へと一閃し、同時に大きな風圧が音波を発した。
 爆発に近似した音と言って良いかも知れぬ。ドンと一発雷鳴の如く広がり、聖書に言うモーゼの奇蹟よろしく、施設屋上の水が除却された。

 

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