アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-047-
プラズマガンを手にする。質量15キロ。全長150センチ。オプションの熱膨張グレネードランチャーを先端にかぶせ、ハーケンも最初からワイヤ付きがあったので持って行く。
甲板に上がると驚きの表情が彼女を迎える。長大な銃器を背負い、槍のような器具を携えた姿は女戦士と見まがうが如し。
救助に銃器。拒否感覚える向きもあろうが、彼女の方針は一つ“使える方法は皆使う”。
相原からピン。
『舷側フェンスにハーケンのバックフックを引っかけろ。来るぞ。チャンスは一度だ。ハーケンをランチャーに放り込め。ターゲットシステムをタブレットに呼び出せ』
相原は次々指示した。以前、船の取扱説明書を“読んで聞かせた”関係で、彼の知識は船長同等。
「はい!」
対して彼女は言われたことを意識する(脳内で復唱する)だけで良かった。PSCと略される耳の穴に仕込んだ装置は、脳波から指示を取り出す機能をもっており、考えただけでタブレット等は反応する。
ハーケンのワイヤ先端フックを舷側フェンスの縦棒に引っかけ、ハーケンをランチャー先端から放り込む。
銃身をどっこらせでフェンスの上に載せ、銃身上の溝にタブレットを押し込んで照準機構準備良し。
船が作る風の壁の向こうに銃口を向ける。港湾火災(後に大火となる)の煙の中から、左右に大きく揺れる漁船が現れる。
アルゴ号からの風圧を受けて傾き、進路を変える。
タブレット画面に二つの丸が入ったスコープが現れ、二つの丸を合わせろと表示が出る。片方が標的で片方が銃の向いている向きだ。銃の向きを合わせれば良い。
狙っているのは船の“錨”。更に言うと船体に空いている錨のチェーンが出入りする穴(ベルマウス)。船は錨を降ろしたまま流されているようで、チェーンが垂れて水中へ伸びている。逆に言うと穴を狙いやすい。
タブレット二つの丸が重なって二重丸。穴の大きい小さいは距離に差があることを示す。命中距離よりやや遠い。
| 固定リンク
「小説」カテゴリの記事
- 【理絵子の夜話】空き教室の理由 -042-(2025.02.15)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】14歳の密かな欲望 -04-(2025.02.12)
- 【理絵子の夜話】空き教室の理由 -041-(2025.02.08)
- 【理絵子の夜話】空き教室の理由 -040-(2025.02.01)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】14歳の密かな欲望 -03-(2025.01.29)
「小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事
- 【魔法少女レムリアシリーズ】14歳の密かな欲望 -04-(2025.02.12)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】14歳の密かな欲望 -03-(2025.01.29)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】14歳の密かな欲望 -02-(2025.01.15)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】14歳の密かな欲望 -01-(2025.01.01)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】アルカナの娘 -16・終-(2024.11.13)
コメント