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2016年11月16日 (水)

天使のアルバイト-084-

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 以上、病院について、妙に詳しく父親はエリアに語った。それは、タクシー内でまんじりと座していられない心理状態を意味すると共に、その病院の持つ技術力に望みを見いだしていることも表していた。
 タクシーが病院車寄せに乗り入れる。
 3人は下車し、花屋が併設されたエントランスを横切って受付へ向かう。
 女性が応対し、名前と来院目的を告げる。
「……循環器科の佐藤先生になります。当院に以前おいでになったことは?」
「ありますがそこには……」
「ではご説明します…」
 見取り図を出され、極めて事務的に循環器科の位置を教えられる。受付ロビーを斜めに横切り、階段ホールを抜け、エレベータで11階。
“患者家族”を意味する青いバッジを受け取り、エレベータホールへ急ぐ。呼びボタンを押すと上向きのランプが点灯、2つ隣の表示ランプが点滅し、そちらが間もなくやってくることを示す。3人は移動し、ケージの着床を待つ。
 チャイムと共にケージのドアが開き、数名が降りるのを待って乗り込む。ボタン11を押し、閉じボタンを押す。同乗する者は無し。
 ドアが閉まり、ショック無く加速上昇して行く。別に待たされたわけではない。途中別の階に止まったわけでもない。スムーズに乗り込み、スムーズに11階へ向かっている。
 しかし、時間が異様に長く感じられてもどかしい。焦燥感とはこのことを言うのか。
 ……9階、10階、そして11階。
 ケージが減速して着床する。チャイムが鳴り、扉が開いた。
 と、丁度通りがかった女性看護師がチラッとこちらを見る。
「あの……沢口由紀子の家族の者ですが」
 その看護師を捕まえて、父親はいきなり言った。
 それは……表情にこそ出さないものの、自分と同様の焦燥が、狼狽が、父親の中に存在することを意味する。電話の口振りからして、由紀子が学校で倒れるのは良くあることなのだろう。それに馴れているはずの父親がここまで。
 

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