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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-056-

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 Tシャツ短パンに着替える。外が寒いのは承知。それよりは機動性。
 ウェストポーチも予備を巻いて中身を移し替え。ベルトを留めて準備完了。
「準備できました」
『苦しいかも知れん』
 船長の重々しい声に甲板へ飛び出す。
 完全に水没した二階建て家屋。
『水のせいで赤外線センサ、心拍探知が働かない』
 でも、だからって死は意味されない。
「燃料ありますか。光圧でさっきみたいに排水を」
『船長……』
『やれ』
 シュレーターの逡巡は即時却下された。
「ファランクス。屋根吹き飛ばして」
 そこで相原が割り込む。
『屋根だけ水から出せばいいだろう。まずセンサーだ』
『了解』
 船から光が吹き下ろし広がり、津波に上から穴を開けて掘って行く。
 屋根が現れた。その瞬間。
『対人センサ感あり!』
『座標特定した。行け』
 甲板から飛び降りる大男二人。
 ラングレヌスがプラズマ銃で屋根の一部を溶解させ穴開け。
 即座に飛び降りる。
『2階感なし。対人センサは本当か?』
『ラング。下だ。1階で生きてる』
『マジか?』
 そこで相原からピン。
『その家を赤外線スキャンした。浴室に行ってくれ。水圧で扉が開かず逆に生きてる』
 レムリアは首に下げたタブレットに家屋のデータが送り込まれたと知った。
 大男達はメガネ型端末を着けているが、こっちの方が画角が広く、見やすいだろう。
「見取り図ここ!」
 レムリアは甲板から声を出し、端末をストラップから外してフリスビーのように投げた。
 屋根の穴から腕が伸びて捉える。
『日本語で助けるから下がってとはどう言えばいい?……ああ、出た』
 それは端末が彼の意をくんで、文字列で表示したのだろう。
 ピンチアウト(端末の画面上、拡大したい部位に指二本をあてがい、その指間を広げる動作で拡大作業が行われる)で拡大してデカい文字見せれば良い。

 

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