« 天使のアルバイト-089- | トップページ | アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-058- »

アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-057-

←前へ次へ→

 

 中から派手目の音。幾らか壊している。閉じ込められているので、最短距離と救出空間の確保のため。
 イヤホンにピン。
『救出成功。意識あり』
 船をそのまま屋根ギリギリまで降下させ、スロープを延ばす。
 主婦らしい女の人を二人でリレー。まず、アリスが屋根に出、ラングが穴から女性を押し上げ、アリスが抱き上げ、そのままスロープへ。
 ラングが穴から出て来、スロープへ移り、救助完了。
「光圧解除。次地点」
『了解』
 船はそのまま水面を滑った。
 2階建てアパートの屋根の上3名。しかも、子供達だけ。学習塾とある。
 ところが。
『周りが火の海だ』
 火に取り囲まれている状態。火の海文字通りである。しかも、その火の海がどんどんかさを上げて行く。ここで、これまでと同じ船からの爆風では、子供達が吹き飛ばされるリスクがある。男達が降りて、スロープを横付けし……もどかしい。求められるのは“一瞬・一回”。
 そう考えている暇すら惜しい。
『すり抜けながらかっさらえ!』
 日本アニメの著名なセリフを言ったのは相原であった。
 レムリアはその意を理解し、副長セレネにテレパスで伝えた。副長は更に意識を船へ伝えるシステム(普段は要救護者の“心の悲鳴”が発せられたポイントを同定するのに使う)を使い、船のコンピュータが類似の事例をデータベースから探し出す。
『“スカイフック”で判るか諸兄』
『ああ納得した』
 Skyhook。それは米軍が開発した地上の兵士を飛行機で回収して行くシステムである。気球を上げさせ、飛行機から伸ばした鉤爪で引っかけて持ち上げる。ベトナム戦役時代の同システムデモ用のモノクロ動画が配信され、全員がビジュアルで作戦確認。ここまで5秒。但し、鉤爪の代わりに逆さまに釣られた男達の腕を使う。
『了解!』
『おう!ドクター操舵頼む。私も行く』
『操舵権受領アイ』
 斯くしてスロープに現れた双子と船長、大男計三名。
 レムリアは彼らの腰にワイヤを繋いだ。フックはスロープにセット。
『準備良し。シュレーター!』
 男達はワイヤの力を借りてスロープから天地逆さにぶら下がった。
 船で通過しながら抱き上げる。

 

|

« 天使のアルバイト-089- | トップページ | アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-058- »

小説」カテゴリの記事

小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-057-:

« 天使のアルバイト-089- | トップページ | アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-058- »