アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-063-
主機関、その主役である主加速コイルは、超伝導ドライブの電磁石である。燃料である反物質“陽電子”と、空間にある電子を吸引、引き合わせるのに使う。陽電子と電子を衝突させると応じた光エネルギが得られる。それを船尾のお碗型反射板にぶつけて推進力とする。
一方、ハイドロクローラはその光エネルギで気体液体を加速噴射して駆動力を得る。
相原の提案はこれらと異なる。海水に大電流を流して磁界を加えると海水自身を動かすことができ、これで推進力を得る。電磁推進と呼ばれ、主として秘密行動を目する潜水艦の動力源として開発が進められている。
アルゴ号では機関に異常が生じ、高いエネルギが制御不能に陥った場合、最後の手段として当該部位を切り捨てる機能を持つが、切り捨て、ではなく、その前段階の遮蔽板解放、コイル露出の状態を使えないか?と言うのだ。
『検討に値すると思料する』
シュレーターは前置きし、
『電界はマストを使って励磁電流を回せばいいだろう。理論だけで保証は無いが。船長、いかがか。但し当然、燃料の消費が激しいため、実行後行動不能に陥る』
出来ることと、その後を述べ、船長の断を問うた。ただ、もう答えは判っている印象だ。
『実行せよ。シュレーター、本船を着岸させよ。アリスタルコス、非常解放プログラムに割り込んでマニュアルステップ実行を行え。ラングレヌス電路切り替え可能か』
『アイ』
『マニュアルステップ準備完了』
『電路切り替え可能です』
正面スクリーン状態は以下の通り。メイン大画面は外景で、激しく波に洗われる木造家屋数軒。アルゴ号のライトに照らされている。下部小画面は、左から赤画面に白文字で機関損傷、および燃料残0.0006。2画面目は当該解放プログラム画面でステップ2のレディ(指示待ち)。3画面は電気回路接続グラフィック。一番右は生命保持ユニット内部カメラ。
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