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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-067-

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 これに非常に反応したのは子供達。
「すげー。何これすげー」
「宇宙船みたい」
 男の子が興奮してレバーやスイッチをいじりまわす。が、動力断に伴って主幹コンピュータの電源が落ちているので反応はしない。
 そして、この宇宙船的装備で少しでも気が紛れるならそれで良い。
 コンソールとひな壇の間には幾らか空間がある。作戦決定の議論に使う液晶パネルのテーブルがあるが、そこを臨時の厨房にする。

 

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(CEATEC2010にて)

 

 アルミのシートで覆い、宿から卓上IH調理器を持ち込んで並べ、大きさ不揃い鍋を載せる。操舵室背後の倉庫からそばの実が入った木箱を持ち出して開き、その他食材を各戸から持ち寄り、女性陣が中心に調理を開始。乗組員含め胃袋40満たすだけの一食は確保できそう。
 情報が欲しいという皆さんの求めに応じ、コンソール上のディスプレイ一つに通電し、テレビの衛星放送を拾う。
“沿岸で数百の遺体”
“観測史上最大・M8.8”
 すさまじい数字と言うほか無かった。日本の報道じゃないみたいだとレムリアは思った。
「うわ……」
「結局何が起こったですか」
 人々は、子供達も含め呆然となり黙り込んでしまう。日本人をして空前の大災害なのだとレムリアは理解する。
『千年に一度の、大地震です』
 声の主は相原。
『貞観地震。これは多賀城まで津波が押し寄せたと記録されていますが、そのままの状態が今回仙台平野で見られました。人的被害は明治三陸津波に匹敵かそれ以上になるかと。沿岸部の情報がまだ何も入ってきません』
「ここが沈むくらいだけ、明治よりすごいんじゃろな」
 そば飯を提案した女性……安藤さん曰く、本来の避難所まで遠い。そこで、明治三陸で水没しなかったこの高台が一時的な待避場所に指定され、応じて近隣から集まっていたという。

 

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