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天使のアルバイト-093-

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 ちなみに断っておくが、再生不良性貧血は、全てが重症になるわけではない。この名が付く病気の範囲は広く、その多くは言われなければ判らないほど軽微なものであり、医師が言ったような薬で治るか、様子を見るだけで済む場合すらある。由紀子の場合は最重症、かつ、症状の進行が早い極端な例と言って良い。
 本来、指定難病のこのような予後“病気の進み方”の記述は、この病気を持っている方の不安を煽りかねず、避けた方が良いのかも知れぬ。ご批判指摘あっても否定はしない。しかし、だからこそ早急かつ確実な治療法の開発、並行して骨髄移植システムの告知と確立が重要であると考え、ここでは敢えてこのような予後が存在することを記述する。ちなみに、同様のことが骨髄性白血病にも言える。
 
 その晩。
 4人は医師から紹介された移植医療の支援団体を尋ね、そこのスタッフと相談の末、パソコンでビラを作り、配ることに決めた。現実は過酷だが道がないわけではないのだ。だったらその道を必死になって歩むしかない。
 両親は店にビラを置き、担任は担任で学校で話すという。ただ、骨髄移植の場合、献血のように善意と少しの時間で済む話ではないので注意が必要であり、その旨は明記するよう言われた。
 すなわち、
 
・骨髄提供のために数日入院が必要である(仕事・勉学が制限を受ける)
・骨髄は全身麻酔の上で腰骨から採取する。このため麻酔に関わるリスクを有する。
 
である。つまり、提供者(ドナー)側にも、ある程度の制限と危険が生じるのだ。このため、骨髄移植のドナーになるには、勢いではなく“真剣な”勇気が必要とすら言う人もある。真に理解した上でお願いしたいというわけだ。安請け合いされて、その場になって辞退、では困るからである。なお、実際のドナー登録に際しては、説明用のビデオを見た上、最終的な承諾というステップを踏む。
 

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