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天使のアルバイト-094-

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 翌日。
 エリアも店長に頼み、作ったビラをレジの脇に置かせてもらった。
 ただ、彼女の場合、それしかできない自分が歯がゆかった。自分本来の力があるなら、もっといろんなことができるのに……。
「ちょっと、お姉さん。ボッとしてないで」
「え?あ、すいません」
 エリアは怒りを露わの女性に謝った。これで今日は3回目である。仕事が身に入らない。というか、ハッキリ言って上の空である。
 肩を叩く手があった。
 店長。
「いいよ。食事行ってきな。午後は掃除して総菜の陳列に回って」
「すいません」
「仕方がないさ」
 エリアは一枚も減らないビラに後ろ髪を引かれながら、レジから抜けた。背後で店長が頭を下げているのが申し訳ない。
 自動的な動きで社員食堂に向かい、いったんは食器を載せるトレイを手にする。しかし食事を摂る気にはなれず、そのままテーブルに座って携帯電話のスイッチを入れる。ちなみに、この電話は不動産屋で外回りする際に持って出るものだそうだが、両親ともしばらく外回りは中止ということで、代わりにエリアに貸してくれた。
 電話の回路が着信準備を整え、電波強度を知らせるグラフが立ったところで早速着信。
 不動産屋から。すなわち、昼休み時間を狙って発呼したということだろう。
「はい、エリカです」
『どうだった?』
 母親の声。
「全然。チラとも見てくれない……」
 自分の言葉に現実を再認識させられ、涙が出てくる。
「しかも……ドジばっかりで……店長に迷惑かけちゃうし……」
『泣かないの。こっちもダメよ。先生はとりあえずクラスで説明はしたって』
 反応が芳しくなかったことは聞くまでもない。由紀子の友達付き合いがスムーズでないのは冒頭の通りだ。
「病院の方は?」
 

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