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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-069-

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 何かあったのか。以下コンピュータによる自動邦訳をカッコ書きで付す。
「(はい、みんな元気?)」
「(魔法のお姉ちゃん今どこにいるの?日本が、日本が大変なの。助けに行ってあげたいの)」
 幼い女の子であった。現地のニュースで流れたのであろう。レムリアは納得した。
 一方、これに強く反応したのは今ここにいる小学生達。
「え?」
「魔法?」
「あのね……」
 レムリアは相手先を説明した。余興で手品をやるので魔法使い。
「こじいんって?」
 コンピュータに翻訳禁止し。
「ご両親に出会えない子供達が共同生活。この地震がニュースで流れたらしいの。で、日本に住んでるみんなのことを心配して、私に助けに行けと」
 すると、
「どんとうぉりー!」
 先ほど、涙流した男の子が強く言った。
 彼の中で、ある種の計算が行われたと、レムリアは理解した。
 ここにいる子供達は、少なくとも親を失った子はない。彼のように他の親族の状況不明はあるのだろうが。
 結果、庇護されるべきは電話の向こう。それが彼の結論。
 自分のことは後でいいから。
 サムライだ。レムリアは感嘆した。
「ミス・リリー」
 レムリアは幼い声に呼びかけた。
「はい」
「今の声は日本の男の子です。私は既に日本に来て、こうして子供達と一緒にいます。でも一度に全部は難しい。だからお願い、祈って下さい。神様に祈って下さい。日本のお友達を助けて下さいと祈って下さい」
「判った。みんなでお祈りする。あ、お姉ちゃんそれじゃあ忙しいんだよね。切るよ、バイバイ」
「うん、バイバイ。……カットオフディスカス」
 レムリアは通話を切って人々を見た。
「世界中が、日本を襲った状況を知り、動き出してくれているようです。……だから、私たちもこの夜を越えましょう。そして、出来るだけのことをしましょう。本船にそれなりの蓄えはあります」

 

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