アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-072-
『発砲!』
ラングが声と共に引き金を引き、タブレット画面が一面真っ白になった。
レムリアは画面の中を見、操舵室を出、舷側通路から甲板へ駆け上がり、更にマストへ昇って行った。
画面では情報が限られる。目で見て把握すべきと思ったのである。
駆け上がると照明弾は火の玉となって空中にあり、タブレットにはマスト頂部のカメラ画像が映し出されていた。ここは小島の状態にあり、船のある側は砂浜。真ん中は小高く山脈のようになっていて木々が見え、向こう側、すなわち反対側の海岸は、ガレキが多数漂着しており、海と地表との境目は見えない。
その海上には漂う多数のガレキと、縫って走る数隻の小型船があり、その船上に腹ばいになり、身を潜めているように乗っている男達。ラングレヌスの報告通り。
レムリアは最も高い第2マスト、ラングレヌスの足下に達した。超常の視覚を使う。舟艇の中は慌てている。照明弾を確認し、何事か身振りを交えてやりとり。
船の針路が変わる。
「逃げます」
『させるか』
アリスタルコスの声があり、船の前寄り、第1マスト頂部からレーザ光が幾本走る。人体攻撃は不可能だが、その手にした武器類に正確に照準することが可能である。
驚き、であろうと思われる声が船の方から上がり、人影が次々船から這い出て海へ入る。“あろうと思われる”のは日本語ではないから。
散り散りになって逃げる気だ。……思った瞬間、予想外のことが起こった。
照明弾が海面に落下し、覆っていたであろう油膜に着火したのだ。
厳密には可燃性の気化ガスが表面を覆っていたのかも知れぬ。炎は意志持つようにさーっと馳せて広がり、
火事場泥棒の者達に悲鳴を生じさせたのみならず、火の壁がこの離れ小島に迫ってくるという事態を生み出した。
者達の乗っていた漁船が次々に火に包まれ、遅れて爆発する。
| 固定リンク
「小説」カテゴリの記事
- 【魔法少女レムリアシリーズ】14歳の密かな欲望 -04-(2025.02.12)
- 【理絵子の夜話】空き教室の理由 -041-(2025.02.08)
- 【理絵子の夜話】空き教室の理由 -040-(2025.02.01)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】14歳の密かな欲望 -03-(2025.01.29)
- 【理絵子の夜話】空き教室の理由 -039-(2025.01.25)
「小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事
- 【魔法少女レムリアシリーズ】14歳の密かな欲望 -04-(2025.02.12)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】14歳の密かな欲望 -03-(2025.01.29)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】14歳の密かな欲望 -02-(2025.01.15)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】14歳の密かな欲望 -01-(2025.01.01)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】アルカナの娘 -16・終-(2024.11.13)
コメント