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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-077-

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「は?」
 レムリアは思わず問い返した。原発が、なぜ?
 その声は子供達のいくらかが目を覚ますほど。
 反射的にカメラの向きを変える。ガレキから青空へ。福島がある南南東へ。映りはしないだろうが。
「メルト……」
『スリーマイル島と同じだ。4機あるからタチが悪い。政府がぐちゃぐちゃ言っているが、何が起こってるかサッパリ掴めない。対放射線防御態勢に入れるようセンシングはお願いする』
「そんな……」
 レムリアは以降の言葉が紡げず、ただ涙だけがぽろりと出た。
 地震、津波、火事、犯罪、原発事故……一体、どれだけの災害が出続ければ、事態は収まるというのだ。
 この国が、世界に何か悪さをしたか?
 平和を理念とし、人的、金銭的貢献を続けるこの国を災害が襲う理由は何なのだ。
 まさか太平洋戦争の報いというわけではあるまい。
「相原。センシングは作動した。ヨウ素とセシウム、ガンマ線をカウントしている。放射線通常値があれば送って欲しい」
 船長の回答。応じてモニタの左下に数値枠が出現する。
『放射線の生データは忘れたが0.05マイクロシーベルト毎時くらいが平均と記憶している。日本の基準は年間1ミリだ。越えそうなら警報と避難者の船内収納を』
『承知した。警戒レベルの設定、傾向管理アラーム設定を行った』
 頭の上で飛び交う会話。それは“泣いてるヒマなどない”と言外に言われているようであった。
 そう、実際泣いてるヒマなどないのだ。電力は確保できた。ある程度救援活動に設備を使える。
 涙拭き取ったモニタ画面にヘリコプター。
『自衛隊だ』
「モールス入電。貴艦は秋葉原の不時着船とお見受けする。回答願う」
 シュレーターが解読した。
「貸して」
 レムリアはPSCのマイクを無線に繋ぎ。

 

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