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2017年3月 1日 (水)

天使のアルバイト-099-

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 その明かりに頬を照らされ、作り出す風に髪を任せながら、何か無いかと彼女は考え続ける。助けてもらって、住む場所に仕事まで。今こそ、そのお返しをするべき時のはず。
 背後へと走り去った上り列車の音が聞こえなくなった。
 少しの静けさ。
 それから続いて、後ろから電車が接近してくる音。
 再びのヘッドライトの光芒。照らされる自分の背中、浮かび上がる前方と、伸びる自分の影。
 前方。そこは彼女が最初“落ちていた”場所である。川を渡る短い橋梁が掛かっているところ。
 後ろからの電車がプアーンと警笛を鳴らした。
 良く、テレビドラマなどで、電車が出てくると必ずと言っていいほど警笛の音を出すが、実際に電車が警笛を鳴らすのは危険防止のためで、しょっちゅう鳴らすものではない。
 危険防止……。
 ぼうっとしていたせいで自分が危険に見えたのだろうか。エリアはまず電車と自分を見た。もちろん何の問題もない。
 では、前か。エリアはヘッドライトの光芒の照らす方向を見る。
 すると。
 エリアは発見する。
 見間違いではない。川に架かる鋼鉄の橋、ガーダーブリッジと呼ばれる、枕木とレールが剥き出しになった橋の上に人影。
 自殺!
「ちょっと!」
 エリアは叫び、走り出す。同時に後方すぐで電車が長々と警笛を鳴らし、バシャッという空気の吐出音が、驚くほどの大きさで周囲に響く。
 非常ブレーキ。
 間に合うか……エリアは人影までの距離と電車を見比べながら考えた。
 間に合わない。
 でも助けたい。
 助けなければならない!
 次の瞬間、エリアは当たり前のように、使者として当然の動作として、大地から跳躍した。
 全身が炎を噴いたような感触が、一瞬、存在した。
 これか!エリアは思い出すと共に確信した。そう言えばあの夏の日、ロックされているはずの車のドアを開ける時、この感覚がこの身に生じた。
 

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