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天使のアルバイト-101-

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 許してくれるようである。エリアは安堵と共にもう一度頭を下げた。
「はい。すいませんでした」
 運転士と車掌が指差呼称で安全を確かめ、それぞれの持ち場へ戻って行く。
 その間、エリアは女の子の肩を抱える。小さな警笛があり、電車が動き出す。安全確認のためか最初はスローで、橋を渡り終えてから加速を始める。
 エリアはそれを見届けると、女の子を連れて堤防、すなわち最初エリア自身が助けてもらった草の上に上がった。
 女の子をじっと見る。女の子はきょとんとしている。
 何が起こったのかよく判っていないらしい。
 このバカ娘!……エリアは一喝したくなる。こっちには、生きていたいのに病魔によってそれすらも不確かな娘がいるのだ。そして、彼女の命を守ろうと、多くの人が昼夜を分かたず八方手を尽くしてくれているのだ。
 それなのに、それなのに……やすやすと命を絶とうなんて。
 しかし。
「どうしてあんなところに立っていたの……」
 エリアの口をついて出たのは、迷子の幼子を迎えに出た母親の口調であった。
 女の子の濡れた髪の毛を絞りながら、自分が着ていたカーディガンを羽織らせながら、ゆっくりと尋ねる。見れば痩せぎす。頬は落ちくぼみ、骨ばっていて、ゴボウのようにどす黒く細い手足は、まるでミイラかガイコツ。
 女の子がワッと泣き出す。そのままエリアにしがみつき、恥も外聞もなく大声でわんわん泣く。
 エリアは女の子をそのまま抱いている。理由がフラッシュバックの映像で見えてくる。
 憧れの異性がいてその彼に痩せろと言われた。それで無理をしたら気持ち悪いと言われ、挙げ句に彼には既に可愛い彼女がいた……。
 弄ばれたのである。
「だからって、死ぬほどのことはないよ」
 エリアはゆっくり言う。女の子はエリアの肩のところで小刻みに震えている。
 

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