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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-086-

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「陣中見舞いなんかじゃねーよ。アルゴ号自体の救援だい。ドクターシュレーター!」
 相原は左腕で息止まるほど強く彼女を抱え、無線をピンして操舵手の博士を呼んだ。相原も今やこの船の“船長代理”扱いであり、無線機は常時携帯している。
 その間に医師が自衛隊員に抱きかかえられて下ろされ、ヘリが飛び去る。別の病院へ行くという。
「左側に抗生物質やら何やら必要そうなの積んできた」
 相原はこれが組み立て式の倉庫であり、中に色々積み込んで持ってきた、と言った。
 レムリアは医師と共に倉庫左手のドアに向かう。一方、相原は操舵手かつ船の設計者、シュレーター博士の現れるのを待ち、倉庫のドアをレールから外した。
 右側。そこには轟々と唸る機械と、それらとパイプで接続された白い箱。周囲の空気が冷えたらしく、演歌のステージみたいに霧が流れる。
「反水素少し。前のバージョンに合わせたはず、です」
 相原は言った。
「おお」
 シュレーターは倉庫内機器類を見回し。
「初号のパーツか。なら行けそうだ。移設するには冷却装置から外して持って行けばいいが、何分持つ?」
「5分でレーザ発振機がクエンチします。外さずこのまま動かせると思いますが」
「重いじゃねぇか」
「ビシャモン持ってきてます」
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 少し説明する。アルゴ号の主動力は光子ロケットである。強力な光を生成し、船尾のお碗型プレートに打ち付け、その圧力で前進する。これにより、地球の裏側まで6秒。宇宙空間では光速の99.975%という空想科学小説そのものの速力を有する。
 その燃料は“反物質”である。詳細は省くが、超伝導コイルで磁場を生成して閉じ込めたり、絶対零度近似の真空にレーザ光で原子1個ずつ保存などの方法で保管する。アルゴ号では当初水素の反物質である反水素(反陽子と陽電子のペアで構成)を使っていたが、保管電力が過大となるため、磁場で御せる陽電子だけに変更していた。相原が持ってきたのは当初仕様の反水素である。

 

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