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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-093-

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13

 

 天候に恵まれ応じた電力も得られ、機関復旧作業は順調に進んだ。船のエンジン自体、複数の冷凍機で絶対零度近くに保つのだが、その温度が目標に達すれば稼働可能と判断された。目標は午後4時だ。とはいえ摂氏200度以上温度を下げる。応じた時間が掛かる。
 自衛隊から急。子供だという。
『佐橋です。受け入れます』
 潮が引き、浜辺になった北側にヘリコプターを下ろしてもらう。
 担架に乗った男の子。
「ついでで申し訳ないんですが」
 大男二人が担架を船に運ぶ間、相原が砂浜の首塚について説明。手元の端末で動画を見せる。
「不当逮捕!差別!」
「やかましいわコソ泥どもが。殺されないだけありがたいと思え!」
 袋詰めのまま引き渡す。
「確実に警察に」
「よろしくお願いします」
 ヘリコプターが去って相原は船に戻る。
 操舵室に入り、レムリアの隣席で次々と機器を操作。画面を立ち上げ正面スクリーンの画像を入れ替え。
 耳の穴に通信機。
「ドクターシュレーターそろそろと思いますがどうでしょう」
『おお相原か。接続中だ。そこで取れる計測値を教えてくれ』
「GMサイクル1から4番運転電力、ヘリウム入出力温度、圧力、流速。いずれも管理値内。反水素ユニット内部温度2.8ケルビン維持。主加速コイル温度センサ160、100、78ケルビン」
『接続OKだ。しかしコイルは偏りがあるな。壊したか。回ってないだけか』
「どっちもあり得ますね。ただ、ハイドロならハーフカット駆動で十分かと」
『速力が確保できんぞ』
「どのみち出せませんから……ガレキや、ご遺体を傷つける」
『なるほど。コイル冷却配管とSC線の仕切りが出来るか?』
「やっておきます」
『それなら1時間繰り上げだ』
「了解。総員、主加速コイルを25パーセント出力で駆動する。最大速力は20ノット。3時には航行可能」

 

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