アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-097-
「よろしい。機関始動!」
「始動します」
アルフォンススの声にシュレーターが喚呼で応じる。握っていた操縦桿の奥手、アクリルの小さなフタを開き、スイッチを押す。
キュイーン。擬音で書けばそんな表現か。次第に周波数が高まる電磁音。やがて聞こえなくなる。人間の可聴域を超えた周波数。
数秒後、ラングレヌスが座る位置でランプが幾つか。
「フォトンハイドロクローラ始動。主コイル出力逓減20パーセント。前段加速器温度所定。主機関準備ヨシ。但しリフレクションプレート喪失。自動でハイドロのみの運転となります」
「よろしい、クローラ起動し船体水平を確保せよ。機関制御開始」
「制御開始」
ラングレヌスが報告し、アルフォンススが宣言し、シュレーターが操縦桿に手をする。
画面が動く。
船が少し揺れ、応じて多少ミシミシ音がし、画面が少し揺れ、映示される角度が変わった。
「動いた!」
「おおすげぇ」
「何これ飛ぶ?めっさかっこええ」
男の子達は騒然。
「クローラ運転確認。現在ゼロベクトル。本船は駆動動力を回復しました。最大速力は22ノットとなります」
「結構だ。一旦動力遮断。乗船者の各位に今後の行動の説明を行う」
14
この地を離れることとなり、船の内外にいた皆さんに操舵室に集合してもらった。
医師と相原、救急で肺洗浄を行った男の子を加え37名。
ひな壇下部に船長が立ち、傍らにレムリアが通訳。
「私は本船の船長、アルフォンススです。本船の漂着に関し皆様に温かく対応頂きましたこと、まずはお礼申し述べたい。その上で、本船は駆動力を回復したため、この地を離れ、生存者の捜索と傷病者の救護に向かいたい。そのお許しを願うと共に、皆さんを所定の避難地に送り届けることといたします。ご承知願えますか」
| 固定リンク
「小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事
- 【魔法少女レムリアシリーズ】アルカナの娘 -13-(2024.10.02)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】アルカナの娘 -12-(2024.09.18)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】アルカナの娘 -11-(2024.09.04)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】アルカナの娘 -10-(2024.08.21)
- 【魔法少女レムリアシリーズ】アルカナの娘 -09-(2024.08.07)
コメント