アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-101-
相原は男性らが離れたのを見、昇降スロープから声を発した。
『了解。アルゴ号発進する。抜錨!』
アルフォンススが応じ、ピン2発の後、船体各所から非常固定用錨のワイヤを切断するバチンと耳に痛い音、および、テンション掛かったワイヤが唸るひゅうという音。
船体がゆらりと揺れた。
『両舷後進微速』
男性4人と分かれる。レムリアは甲板に出て来、その姿肉眼に収めずにはおられなかった。
両手を口元で揃えてメガホン。
「ありがとうございましたあ!」
勝手に飛び出す感謝の言葉。この船は、自分たちは、ここに着いて共にあったからこそ今がある。こんな素直に言えたことは過去に無い。
「気にすんな!こっちこそ一晩メシと暖房があったのは助かった!一人でも多く助けてくれよ!」
「もちろんです!」
船が波打つ音が声より大きくなる。
『気仙沼湾内に進入する。甲板にいても構わぬが衝撃注意』
「了解……レムリア丁度いい、探せ。テレパス使って生きてる人探せ。操舵室、人体探査システム稼働されたい。また、ウチのQZSが携帯電波拾っていれば座標を出すはず。ストリーミングして近隣に無いか把握を」
相原は船内に戻り、スロープを格納した。
船内移動し甲板に向かう。船のスクリーンには気仙沼湾内と街が広がる。
『相原さん、レムリアと連携して探査しています』
まずの回答はセレネ。テレパシーの協調。
「了解です」
相原は言い、レムリアの傍らで身を乗り出した。僅かだが彼の歯ぎしりをレムリアは聞き逃さない。彼の悔恨を感じる。逃げる時間はゼロでは無かった。正確な予測に基づき周知する方法はあったはずだ。
アリスタルコスからピン。
『探査はしている。人体形状は多くあるが鼓動や体温を感じ取れない』
“その画面”をレムリアは見、歯がみ。
「……ですね」
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