« アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-105- | トップページ | 天使のアルバイト-114- »

アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-106-

←前へ次へ→

 

 イヤホンにピン。
『スキャン完了。奥まった空間に閉じ込められてる。このまま入り込むには狭すぎる。屋根荷重を取り払わないと通路が確保できない。ただ、屋根を取り払うと向こう側へ建物が倒れて水中に没する』
 タブレット画面にレーダスキャンされた家屋構造が出て来る。要するに浴室にいて助かり、他の部分は潰れてしまった。屋根の重みで建屋が船の側に傾き、浴室側が海上に浮き上がったので存命空間を確保。
『この構造だと浴室だ。丸ごと吊るか反対側から壁を壊すか』
 相原の意見。
『本船は吊れる状況じゃない。壁を壊すと基礎と屋根を結ぶ力が弱くなって屋根の重みを支えきれない。屋根は落ちるし浴室も沈む』
 その頃、子供達は先に進んでいた。
「お姉ちゃん、先生この奥だ!ちょっと見てくる!」
「見てくるって……え?」
 子供達は僅かな隙間から建物の中へ入り込んだ。
「あぶな……」
 違う。自分もそうだが小柄が利する。ならば手はある。
「ボディバッグを搬送用に使えないでしょうか?」
 レムリアは提案した。それはご遺体を収めるザック。
「ロープとザックを持って入ります。ザックに入って頂いて引っ張れば通れないでしょうか」
 船のコンピュータが何かして画面にスキャンした家屋図、及びどこから呼び出したか桜井智子なる女性のカルテが現れる。
 病院用ではない。下着専門店の採寸データ。
 子供達が進んだ隙間で救助可能か確認しているのだ。イモムシのようなものが家屋図内部の隙間を縫って進む。
『レムリア見てるか』
「見てます。クリティカルが一カ所、ですね」
『倒れた柱が上下に並んでいる。そこを幅42センチ高さ7センチ広げれば通れる』
『プラズマで焼け』
 相原即答した。ただ、そのためには銃をそこまで持ち込む必要がある。

 

|

« アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-105- | トップページ | 天使のアルバイト-114- »

小説」カテゴリの記事

小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-106-:

« アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-105- | トップページ | 天使のアルバイト-114- »