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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-107-

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 子供の体格で船の銃器が扱える。
 自分の仕事か。
「私が行きます。晴人君聞こえる?」
「はい。先生は風呂場です」
「OK良く聞いて。先生には申し訳ないけど死体袋にいっぺん入って頂きます。そのまま船からワイヤで引っ張ります。袋とワイヤを取りに来て」
「判った!」
 船長からピン。
『プラズマは破裂音を出す。耳栓がいる。あと、晴人君には通信用を渡しておけ』
「はい」
 準備をして甲板からガレキの上をあっちこっちジャンプ。海底に接しているらしく、波で揺れるが動くことはなさそう。
 晴人君が戻って来、レムリアを見て目を丸くする。ウェットスーツ近似の黒い耐環境ウェアに身を包み、背中には巨大な銃器。
「映画の女戦士みてぇ。超かっこいい」
「そう?ありがと。これを。こっちは君の耳に。耳栓で無線機。こっちは単純に耳栓。先生に。これを発射するとすごい音するから」
 晴人君が耳に嵌めるのを待って通信テスト。
「聞こえる?」
「はい。すげぇ。映画みたい」
「OK。あとこれと」
 それは安全ベルト。高所作業などで使われ、命綱をつないで使う。
「これが入って頂く袋。でね、入って頂いたら……両腕をこう、胸の前で合わせて重ねて……」
「ツタンカーメンみたいにすればいいんだね……」
 仕草をして見せたらそんな答え。棺桶の彫像がそんな姿とレムリアは思い出した。更に、
「……先生!ツタンカーメンの格好して死体袋に入って下さいって。それを引っ張りますって!」
「ラマーズの最後の姿勢ね」
 熟年の女性の声。それは出産時のラマーズ法の抜力姿勢のことである。胎児の肩が産道を抜けたら、産道の緊張を解くために力を抜く、その際両手を胸の上に重ね置き、ファ~などと声を発せと言うのだ。その姿勢という認識で良いかという問い。
「おっしゃる通りです!」
「判りました!よろしくお願いします!」

 

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