アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-109-
プラズマガン。前記の通り火の玉を射出する。少し詳しく書くと、アルミニウムの弾丸に大電流を印加してアルミニウム原子を熱分解、荷電粒子が一塊になった高温状態“プラズマ”を生成し、これを電磁力で射出する。通常は目標位置にプラズマ領域が収斂し、超高温をもたらすよう照準するのであるが、今回は収斂と逆、リング状に拡散させ、同時に柱を焼き切る。なお、射出に伴い射手に反動が加わるが、それを一種の動力として活用し、銃を“発射”してレムリアの頭の上を通過させ、船へ回収する。
「準備はいい?」
レムリアは問うた。
「いつでも」
「私も」
晴人君と先生からの回答。ならば、もう迷う余地はない。
「行きます。固く目を閉じて下さい。カウント3から、3,2,1……0!」
レムリアは引き金を、引いた。
同時に目を閉じ顔を伏せる。ターゲットスコープが遮光モード。それでも判る白い発光。
銃から手を離す。銃が頭にゴツンと当たる。ワイヤに牽引力が発生し、プラズマガンが身体のあちこちぶつかりながら通過して行く。アドレナリンが身体に充満しているはずだが痛い。
そして0の後のカウント、1。
「1!」
晴人君が声を出し、火の玉が柱に着弾、周辺空気を膨張させて、ボーンとでも書くか、爆発音を生じさせる。
伏せた身の上すり抜けて行く遺体袋。及び、
「2!」
晴人君の身体が通り抜け、
次は自分、のはずであった。
伏せた目の前スコープが赤く点滅、イヤホンがピン二発。
スコープに“EXP”の文字。Explosion、爆発警戒。
『メタン!』
相原がそう言ったところまでは聞こえた。
晴人君の身体が通過し、スコープ越しに高温領域が広がり、充満する。
ベルトに引っかけたワイヤが自分の身体を引っぱった。
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