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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-113-

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 シュレーターが喚呼し、船が水中に潜り、応じて水面が画面を下から上へ動き、暗くなって照明が点灯。状況を映し出す。
 1階部分が水没した家屋。と、漂う……犬の亡骸。
 首輪にリード……逃げられなかったに相違ない。
「ああ」
 子供達も見てしまったが仕方有るまい。
「これマータだよ」
 落胆の声があった。ラブの犬友ということか。
「スキャン完了。内部はガレキが密集し取り除きながら到達の要あり。鉄骨2.7トンと推算。現有人力、ウィンチ力では対処困難」
 アリスタルコスが淡々と。
「甲板に家ごと載せて持ち上げろ。外から壊せ」
「水圧と浮力で保持されている部分もある。持ち上げると全荷重が1階部分に加わって崩壊の危険あり」
 シュレーターの指摘。
「帆柱2階に突っ込んで吊れ」
 相原が言った。船のコンピュータが動画に起こしてシミュレーション。しかし1階天井裏に刺さっている流木があり、これを抜かないと帆柱の耐荷重を超過し吊れない。そして、流木があるからこそ2階の荷重を受け止め、その底が抜けるのが抑止されている。
「何キロ落とせばいい。全部じゃないだろ。流木の端や真ん中切るなり燃やすなり出来るだろう」
「200キログラムだな。しかし家屋からはみ出ている部分を切り落としても70キロ不足する」
「なら真ん中を切り落とせ」
「だから真ん中を切ったら折れて元も子もないぞ」
「言い方が悪かった。真ん中をくり抜け。マカロニみたいに」
「木の芯を抜くの?」
 レムリアはようやく合点が言った。“真ん中”の意味が違った。
 コンピュータでシミュレーション。幹の太さ平均47センチに対し15センチくり抜けば良い。
 これを見て船長が呆れたような、笑いとも取れるような、短いため息一つ。

 

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