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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-115-

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 ただ、貫通はしていない。
「甘かったか」
 相原が歯がみする。そこでアリスタルコスがFELの銃口を再度振り向け、マシンガンモードで発砲。
「もう一度やりゃいいだろ」
『作業を繰り返せ』
 船長の指示を得て、レーザによる穴開けと火の玉によるくりぬきを連続的に実施する。
 プラズマ3回目で火の玉が向こう側に抜け、木の幹に空洞が生成された。
「作業完了」
『本船を沈降させる。貴殿ら……』
「適当にどいておくよ」
 男三人は浮遊してきた漁船に移った。その間に船は一旦水面下に沈み、再び浮上してきた時には、マストを家屋二階に貫通させ、吊り下げた状態。
 ザァザァと家屋から水が流れ出、鉄骨に串刺しされた一階部分が姿を見せる。本当に生存者がいるのかと思う。
 家の中からラブが出て来た。びしょ濡れの身体をぶるぶる振って水滴を飛ばす。レムリアは甲板へ出て来てラブから情報を受け取った。
「トイレのようです。様子を見てきます」
 レムリアは言い、家屋の下で仰向けになると、ラブを先に行かせ、後から小柄を利して入り込んだ。基礎や骨組みをジャングルジムのようにかいくぐってラブについて行く。
 少し空間があり、凹んだトイレドアパネル。
 ユニット式のトイレの上にはその鉄骨。重みでドアが上から押さえ込まれて開かない。逆に言えばそれゆえ気密性が保たれ、水の浸入が防止された。排気管が伸びており、空気自体はここを介して確保できたか。
「救助隊です。声が聞こえますか?」
 僅かな声と、ツメで引っ掻くような音。リズムを刻んでおり、人の手による音。
「今助けます。もう少し頑張って下さい……操舵室及びファランクス。映像見えてると思います。どうしましょう。ムリにドアを開ければ重みが一気にという気がしますが」
『底を抜け』
 船長の意志は明白だった。後は方法。中に人がいる。綺麗に底をどうやって抜くのか。

 

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