アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-118-
船長の声に答えると、緑色のレーザが出て、横一線の形状。プレゼンテーションでよく見る線状モードの如し。その位置を船長の指示に合わせ、若干上へ、右へ、時計回りに回せ。
『座標を設定した。ゴーグルは付けてるな?』
「しています」
『宇宙遮光モードにセットし、発砲する。指示あるまで動くな』
ゴーグルをかぶると内側に文字が出る。発砲待機、宇宙遮光。ちなみに、宇宙では太陽の光が大気介さず届くため、非常に強力かつ目に悪い。このため、宇宙服は極めて濃いサングラスが内蔵されている。
『照準固定。極力動かすな。発砲まで3,2,1,0』
向こうが見えなくなる。が、横一線と同じ位置が一瞬、バッと光ったのが判った。
ごとん、と落ちる音がし、視界が開かれる。
右肩あたり、目前に樹脂成形物が転がっており、切断面がどろりと溶けて煙をあげている。三角形のインゴットと化したユニットバスの一部である。
『標的の切断を確認。レムリア要救護者にアクセスせよ』
「はい」
アタッチメントをベルトに引っかけ、そのまま仰向けで身を捩り、足で蹴って近づく。匍匐前進の腹と背が逆である。ユニットバスに手を掛け、中に頭を入れる。
白すぎる肌は血行の低下を意味したが、目は意識の光持ってレムリアを見返した。
和装の寝間着にはんてんを着た女性である。
レムリアはゴーグルを外した。
「今お助けします」
アタッチメントをずるずる引っ張ってレーザー銃を引き寄せ、中に持ち込む。
「船長レムリアです。ダクトを切断したく。引き続き照準および発砲願います」
『承知した。先端部の位置を目標に合わせよ』
緑のラインに沿って切れることは判ったので、ラインを切断面に合わせる。
自分が盾になって女性の視界を遮り、女性を束縛しているダクトパイプを上下2カ所で切り、落とす。
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