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天使のアルバイト-118-

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「戻って参りました」
「戻したんです。あの姿のまま、人間世界にいることは許されません」
 呆れを含んだ声音で、リテシアは言った。
 日頃の厳かさからは想像も付かない“人間くさい”トーンであり言い回しである。エリアは思わず目を瞠った。
「はあ。申し訳ありません……」
「謝る必要はありません。わたくしが力不足だっただけです。全く……まさかと思いました。あなたは、いえ、あなたに隠されたものを引き出してしまった、ようやく出てきたと言うところでしょうか」
 少々苛立っているような、悔しがっているような言葉。
「あの……?」
 エリアは首を傾げた。
 隠された?ようやく出て来た?
 自分に何か変わったという自覚はない。またやり過ぎて今度は連れ戻された。
「判りませんか?」
「はい」
「では教えましょう。ひとつ、あなたの素質は通常のカリキュラムで見いだせるものではなかった。わたくしどもも型にはまったカリキュラムにこだわりすぎて、直接知覚する努力を怠った。もうひとつ、わたくしの能力が不足しており、恐らくは、彼女……由紀子ちゃんを救いたいというあなたの気持ちが、わたくしの封印も破ってしまった」
「え……」
 エリアは驚いて息を呑んだ。
 リテシアと自分の、いわゆる“超能力”の差は厳然たるもので、同じ土俵で比較する必要すらないほどという認識。
「あなたの彼女に対する友情、或いは命への強い気持ちは、上位の方々へ聞き届けられ、上位の方々が手をさしのべて下さるレベルだった、ということです」
 リテシアは“観念した”そんな気持ちと共に言った。
 それが“思わぬ結果”“ひょうたんからコマ”的な認識であることをエリアは知る。超感覚が教えるところによれば、まず、自分は今回、本当に半分追放の形で地上に落とされた。
 

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