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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-119-

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『落下衝撃注意!』
 ダクトは件の鉄骨が食い込んでいたようで、その辺の接続が外れた。結果、ダクトにぶら下がっていた状態だったユニットバスは、支える物がなくなり、底が抜けたように甲板へ落下した。
 大きな音と衝撃、振動。女性は転倒した。とっさに抱きかかえたがどこか打ったか。
「ごめんなさい。大丈夫ですか?」
 弱い頷き。
 ならば連れ出すのみ。但し、今度は甲板に落ちたため、切り落とした部分は甲板によって塞がれている。
 ならば壁面をぐるり切って穴を開けるだけ。
『状況』
「無事です。続けます。意識ありますが低体温。直ちに病院へ。船の設備だけでは困難と思われます」
「私だ。外で待機している」
 医師の声が壁越しに直接聞こえた。レムリアはレーザー銃を連続照射とし、ファイバ部分を手に持ち、カッターナイフのように扱い、ユニットバス壁面に穴を開け、映画のように蹴破った。
 レーザガンを甲板に放り出し、女性の腕を肩に回して連れ出す。担架が据えてあるので女性の身体を横たえる。低体温も度が進むと温かい物をあてがう程度ではダメで、心臓への負担をリアルタイムで観察しながら血液・リンパを温めるという必要が出て来る。
「電話借りてるよ」
 医師は言うと、アリスタルコスと共に担架を持ち上げ、女性を保持ユニットに搬送しつつ、首筋に触れたり、眼前で指を鳴らす動作。ちなみに“借りている”のは彼女の衛星携帯電話なのだが、手に持っているわけではないので、PSCを用いているよう。
「……突然のお電話すいません。派遣医師の佐橋と申します。ハイポサーミアで対処をお願いしたいのですが……いえ機材だけで、施術は私が行います」
 保持ユニットに到着し、担架のままベッドに載せ、心電図、体温、毛布。

 

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