アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-123-
レムリアは言い、ゴーグルを目の位置にセットした。銃把のスイッチをスライドし、ゴーグルの裏に文字列が走って協調完了。相原が舷側に退き、自身の活動服の腰ベルトをワイヤーフックで柵に接続。
相原は頷いた。
「行くぞ」
「はい」
「操舵室。甲板準備良し。第1マストを船首外へ伸展と共に船体アップトリム90度。マスト先端見張り台の水平座標を維持せよ。真下から突き上げる。見張り台位置加速度3G。カウント3から」
『指示内容確認ヨシ。水平維持制御につき船体コンピュータ理解。カウント始める。3、2、1、アップトリム90度マスト船外回転。見張り台水平のまま加速度3G』
船体はハイドロクローラを用いて周囲に風圧を生じ、先端を天へ向け起こした。
一気の噴流であり、応じて至近の落雷のような重く大きな音がし、風が猛と起こって周囲に吹き広がった。
彼女は風となって真っ直ぐ天へ向け持ち上げられた。轟と音がし、我が身が空気切り裂いて“打ち上げられる”ことを実感する。
大きなステップラ(ホチキス)を開くように、船体とマストは口を開け、“く”の字から一本線となり、先端にいる彼女を中空へ打ち上げた。
足が見張り台を離れ、風の中でみるみる視界が広がり、そしてお世話になった島の、山向こうが目に入る。
ゴーグルは瞳の凝視を捉えると銃器と相互通信し、索敵(さくてき)照準モードに入る。
超常の視覚すらも船体のシステムが把握することは過去に経験済み。脳波を読むらしい。
12キロ向こうの現象を彼女の千里眼は捉えた。
砂浜に乗り付けられた漁船と、降り立つ複数の黒ずくめ。
超常の視力は捉える。彼らの手に警察官のものと見られる拳銃や警棒があるのを。
照準システムが反応し、それら得物に四角いマークが付いて追尾が始まり。
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